ブロードウェイ♪ ブロードウェイ ~コーラスラインにかける夢 Every Little Step Chorus Line
2008年 11月 12日
それを超えるものはないと。
アドレナリンが溢れ出し、
水面下に隠れていたフェロモンが漂う。
アームスは感情を表現し、ステップは行動を表す。
音楽と振付と想いが一つになる喜び。
こんな 素敵な瞬間があるだろうか。
この映画は、鏡に映る先の世界を求めた、ダンサーたちのドキュメンタリーである。
ずいぶん昔に、A Chorus Lineというミュージカルがあった。
パーソナリティを告白し、苦悩をぶちまけ、ダンサーの素顔をさらけ出した。
ブロードウェイでロングランになり、映画にもなった。
かくいう私も、舞台、映画とも観たのだが、
舞台を見た時は、『がっ!オジサンやオバサンたちばっかりやん。。』と思ったのだ(失礼。。)
初演からずいぶんと経っていたので、振付も古臭く感じ、ダンスというよりPlay(演技)の部分が多いように感じた。
語学力も追いつかず、舞台のA Chorus Lineは、正直退屈だった(何を言うてんのか、良く分からんし。。 汗)
もともと、Musicalは苦手なのだ。あの、独特の臭さが(Musical Fanの方、ごめんなさい)。。
しかし、映画のA Chorus Lineを見た時、キャスティングも若くなり、振付も洗練され、
カメラワークのテンポの良さに、すっかり心を奪われ、そらで覚えられるほど、何度も見た。
それから月日が流れ(ずいぶんと)
また、あのA Chorus Lineが、ブロードウェイで再演された。そのキャスティングのオーディションの過程をフィルムに収めているのが、
今回のブロードウェイ♪ ブロードウェイ ~コーラスラインにかける夢(長くてヘンなタイトルだ 汗)
『five,six,seven,eight』のシーンに、鳥肌が立つ。あ、これこれ、これなのよ。
集中して踊る時のテンションの高さ、緊張感。
『オーディションへようこそ』は、『地獄へようこそ』と同義語だ。自分の力を試され、個性を時に否定され、要求に応えねばならない。
雪の降る真冬のニューヨーク。長い列を作って待つ、オーディションの一次は、ダブルピルエット。
長時間厳寒の中で待たされ、冷え切った筋肉でピルエットするのは、単なるダブルであってもキビシイ。
私がNYで稽古をとっていた頃は、Jazz Danceの黄金期だったと思う。
素晴らしい振り付け師がいて、100年に一度現れるかどうか?と思う先生がいらした。
同じ稽古場で見るダンサーの巧さに度肝を抜かれ、感嘆した。
その後、ブロードウェイは、Disneyに覆い尽くされ、子供の世界になってしまった。
ああ、もうあの頃のような、めくるめくGolden Ageのダンスの世界は消えてしまったのだろうか?と、淋しさを感じていた。
今回の映画を見て、その思いは打ち消された。
Broadwayは、まだ息をしている。素晴らしいダンサーが沢山いる。嬉しかった。
Golden Ageの良い遺伝子を引き継いだ次世代のダンサーが育っていた。
『ダンスが踊れなくなったらどうする?』に、『ダイエットを止めるわ』と答えた初代コニー(オリジナルキャスト)は、
ダイエットは止めたようだが(笑)、エエオバサンになった今でも踊り狂っていた。
舞台や映画を見た時、かつてスターだったキャシーがコーラス(その他大勢)に選ばれるのが、腑に落ちなかったのだが、
当初は落ちる設定だったことも分かった。(その他大勢で踊るのに、格が違い過ぎるのは、ヘンだ。)
飛びぬけて、ダンスの巧い男の子がいたが、コーラスにするにはダンスが目立ち過ぎて落ちた。
強い軸があれば、いつまでも回れるし、何でも出来るワケね。。(いつ止まるんだと呆れるほど、回り続けていた)
彼は、Step It Up & Danceに出れば、Cody君に勝てたかもしれない。(こちらを参照)
どんなヴォイス・トレーニングをしているのだ?と思うほどの声量の『At the Ballet』に酔い、
舞台上の台詞であるにも関わらず、演じているダンサー自身の経験のような錯覚に陥る。
2時間近くあったはずなのに、10-15分ほどの短さに思えた。
もう少し、見たかった。あの役のキャストは出てこなかったけれど、どんなだったろう?
先月のSex and the cityに続いて、良かったなあと思える映画でございました。
興味のある方は、是非ご覧下さいませ。
オーディション・キャストの舞台上のシーンは ↓ で見ることが出来ます。